Q:対象となる個人情報は「生存する個人」に限定されるのか?

 確かに「個人情報保護法」は死者の個人情報を対象に含めていません。しかし、「経済産業分野ガイドライン」の中で、「死者に関する情報が、同時に、遺族等の生存する個人に関する情報でもある場合には、当該生存する個人に関する情報となる」との説明もあり、死者に関する情報を一律に対象外とできるわけではありません。
さらに、以下の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインガイドラインで」は、ご質問のような事態を想定して「特段の配慮」を求めるとともに、「診療情報の提供等に関する指針」の取扱いに従って「遺族に対して診療情報・介護関係の記録の提供を行う」と説明しています。

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【参考】医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン20041224日策定)  しかし、患者・利用者が死亡した際に、遺族から診療経過、診療情報や介護関係の諸記録について照会が行われた場合、医療・介護関係事業者は、患者・利用者本人の生前の意思、名誉等を十分に尊重しつつ、特段の配慮が求められる。このため、患者・利用者が死亡した際の遺族に対する診療情報の提供については、「診療情報の提供等に関する指針」(「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(2003 年9月12日医政発第0912001 号))の9において定められている取扱いに従って、医療・介護関係事業者は、同指針の規定により遺族に対して診療情報・介護関係の記録の提供を行うものとする。
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以上のことから、死者の個人情報であることだけを理由に遺族に開示しないことは困難です。ただし、上記の「診療情報の提供等に関する指針」は、「診療情報の提供が、第三者の利益を害するおそれがあるとき」など、診療情報の提供を拒み得る場合を規定しているため、これらに該当するときは開示しないことができます。

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